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上高地 キャンプレポート夏

 上高地に泊まり、その美しい景観と豊かな自然を心ゆくまで楽しみましょう。「るるぶ」には載っていない、上高地の楽しみ方をガイドいたします。
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Camp&Trekking Diary

上高地 2007.08

2007年8月11日〜13日
僕にとって上高地は、今の仕事と切り離して考えることの出来ない「特別な地域」です。
 
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スノーピーク特集
ビクトリノックス特集
 
 
■イントロダクション

1997年8月、お盆休み。

この年の我家は超激戦の予約競争を制し、人気の奥飛騨温泉郷オートキャンプ場にいました。
当時はまさに、オートキャンプ・ブームの全盛期。
人気キャンプ場の予約は、会社を休んでやらなければ無理! とまで云われた時代でありました。

 

この頃の僕は、オートキャンプを始めてちょうど2年が経った頃…

今振り返れば、
キャンプに出かけても、焚き火以外にアウトドアらしいことは何もできず、次々と道具を買い揃え、マニュアルブック通りにモダンキャンピングサイトを演出することが、楽しく感じられた時期であり、同時に各地の人気オートキャンプ場を泊まり歩くことが、キャンプの「テーマ」であったように思います。

 

もちろんその経験がなければ、本を書いたりしている今の自分はないわけですから、それはけして無駄ではなかったと思っています。ゆえに時流のコールマンやスノーピーク一辺倒のサイトを見ると、僕は微笑ましく感じますし、けして否定的ではありません。
むしろそれくらい、キャンプにのめり込める人の方が、早く本質に気づき、他人の役に立つブログが書けるのだとも思います。

 

1997年8月15日。
この日僕は、初めて上高地を訪れました。

美しき梓川、圧倒的な存在感の穂高連峰、そして大きなリュックを背中に背負って行き交うアルピニストと、黒塗りの一眼レフを首からぶら下げたフォトグラファー達…
河童橋を過ぎ、小梨平に入ると、そこはもう明らかに別世界。とにかく見るもの全てが新鮮に思え、強く心を揺さぶられました。

 
その思いは当時の日誌に、こんな風に記録されています。

上高地を、自分の旅の訪問先リストに書き加えてみても、空しさに苛まれるだけである。
登山・写真・スケッチ、あるいは研究…
プロ・アマを問わず、 ここは、何か目的を持って訪ねてきてこそ、意味のある場所に違いない。上高地に来て何もしないというのは、実は何もできないということではないのだろうか…

 
さらに運命的だったのが、ビジターセンターが主宰している無料のネイチャーツアーへの参加でした。
まだ何も知らない段階で、専門家から上高地の生き物や自然のことを丁寧にレクチャーしていただいたことがきっかけで、わずか1時間ほどのうちに、上高地は我家にとって、「景色の美しい場所」から、「自然とアウトドアを学ぶ実践のエリア」に変わってしまったのです。
トリカブトの花
イワナ
カワガラス
■10年間の軌跡

初めての出会いから10年。
その間に僕自身は9度この地を訪ね、冬場をのぞく3つの季節の自然と親しんできました。
冒頭で書いた通り、上高地とのつきあいはキャンピングスタイルの変遷と連動しています。

2000年のゴールデンウィークには、初めて車中泊で沢渡に泊まり、小梨平のコテージで一泊して、徳沢まで足を伸ばしました。そして2004年の5月下旬には、家内とともに小梨平にテントを張り、ニリンソウが咲き乱れる上高地を散策しています。
また紅葉の季節には3度、 沢渡からの日帰りで大正池・明神池ルートを歩きました。

希少な緑のニリンソウ
小梨平野営場
紅葉の梓川岸
 

しかし僕にはまだ、
上高地で、どうしても行ってみたいと思う場所が残っていたのです。

その名は、涸沢カール。

奥穂高・北穂高・そして槍ヶ岳など、北アルプスの標高3000メートルを超える山々を目指すアルピニストにとって、上高地は通過点に過ぎず、最後の大きなベースキャンプ地である涸沢が、本当の登山の出発地点にあたります。

しかし、ネイチャーフォトグラファーにとっての涸沢は、上高地の「終点」であり、憧れの撮影地。特にそこに繰り広げられる紅葉は、立山・乗鞍と並ぶ雄大な錦秋絵巻として、昔から語り継がれてきました。

しかし、上高地バスターミナルから歩くこと約15キロ。
よほどの健脚でなければ、カメラと三脚を担いでの日帰りが困難とされる涸沢は、半端な気持ちでは出かけることのできない場所なのです。

 

 

■2007年8月 

はてさて…
その涸沢までは、いったいどのくらい険しい道なのか? 時間はどのくらいかかるのか? そして本番では、どこに泊まって攻めればよいのか?…

インターネットで収集できる情報に加え、その下見が自分の目でできれば良いに越したことはなく、荷物が少なくて済む夏なら、少しは疲労がマシかも知れない…

知人のブログを読みながら、ふとそんな想いが頭をよぎりました。
というのは今年は10月の第一週に連休があり、時期的にちょうど良いタイミングが控えているからです。

 

実現化のきっかけは息子のひとこと。

高校2年の彼がいくら夏休みとはいえ、まさかついてくるとは思わず、当初は家内と「避暑程度」にキャンプしてみて考えよう… そんなつもりでいたのですが、10日の夕方に声をかけてみると、なんと「ついてくる」と言う返事が…!

そこで家内を残し、彼にシェルパとして働いてもらうことになりました。息子は体は小さいのですが、現役テニス部だけあって、体力は抜群。

それなら、いけるところまでいってみるか…

 
■8月11日(土)

渋滞を避ける為に、早朝5時に出発。
名神・東海北陸道・中部縦貫道を走り、高山を抜けて沢渡中の駐車場に到着したのが10時過ぎ。ほとんど渋滞の影響を受けずに来れたので、そのまま一気に、バスで上高地に上がります。

今の上高地は観光バスの乗り入れを規制しているのと、平成17年に完成した新釜トンネルのおかげで、ほとんど渋滞することなく往復できます。10年前の帰りに、キャンプ場まで7時間近くかかったことを考えれば、まさに夢のような進化でした。

小梨平野営場は、お勧めのキャンプ場です。

ホテルなら1泊1人2万〜3万円とも言われる上高地にありながら、大人1人700円のキャンプ料金は、まさに破格。直火ができてトイレはピカピカの水洗、炊事場は天然水、そして少し歩けば、焼岳の湯という温泉に浸かることもできます。

荷物はリヤカーをレンタルできるので、ここまでなら人数がいれば、クーラーボックスやテーブルを運んでくることも可能でしょう。

※予約はできません。先着順です。

この日は夕方、大正池方面に撮影に出るつもりでしたが、雲が広がり、雷が鳴り出したので中止して、サイトでのんびりすることに。夕食は袋入りのインスタントラーメンです。

夜はお隣のご夫婦と焚き火をしながら歓談。ベテランの山屋さんにたくさんの情報をいただきました。

 
■8月12日(日)

5時前に起床。軽く朝食を済ませ、リュックの中身を詰め替えます。
この日の予定は、往復30キロに及ぶ涸沢往復。小梨平の入浴時間が午後7時までなので、途中の徳沢ロッジで汗を流すべく、着替えと3食分の食料を40リットルのリュックに詰め込み、息子が背負って6時前にサイトを出ました。

 

森の木立からこぼれる朝日の中をどんどん歩き、明神池を越えて6キロ先の徳沢に到着したのは、8時過ぎ。途中、写真を撮りながら来たため、2時間近くかかりました。普通に歩けば1時間半〜45分くらいで到着できる距離だと思います。

徳沢でパンとソーセージを食べ、これから先の地図を入手。
次の目的地は約4キロ先の横尾。体力のない女性や、荷物の多いフォトグラファーが、ベースキャンプ地としてよく利用するテン場です。

 

山小屋とキャンプ(写真は横尾のテン場 ¥500)

徳沢・横尾・涸沢には、登山客を受け入れてくれる山小屋があります。
ただし山小屋は、基本的に全ての宿泊客を受け入れる責任があるので、GWやお盆、そして紅葉の季節の休日前後は人で溢れ、ひどい場合はまっすぐ仰向けに寝るスペースさえ取れないこともあるそうです。

その為、登山客の中にはテントを担ぎ山を登る人が増えてきました。今のテントは軽いものなら2名用で2キロを軽く下回る製品もあり、建て方も非常に簡単です。寝袋やコンロなど、他にも器材は必要ですが、経験さえ積めば、テントの方がプライバシーが守れて、快適なように思います。

 
涸沢の場所

さて、上の地図の黄色の部分がこれからのルートになります。

ここからは景観がガラリと変わり、道もガレキが多い山道に。とはいえ、ちょうど中間地点といえる本谷橋まではさほど登りは入らないので、笑いながら話しながら進んでいくことができるでしょう。

問題は、残りの約3キロ…
ここからは一気に角度が上がり、本格的な山登りが始まります。特に苦しいのは前半の1.5キロ。どこまで続くのかと思う岩の道に、何度も気持ちが折れそうになります。

このあたりは小刻みに短い休息を挟み、マイペースをキープすることが大切。ここが根性の見せ所かも知れません(笑)。

 
屏風岩
本谷橋の下の急流
左の上流部に当たる雪解け水
 

やがて視界が開け、雪渓と遥か彼方に涸沢ヒュッテのカラフルなのぼりが見えてきました。横尾を出て既に2時間以上が経過。カラカラに乾いた喉は、雪渓から流れる雪解け水で潤しました。

そしてクライマックスの大雪渓。
ここまで来て、最後にツルツルすべる雪の上を100メートル以上登ります。座って休むというわけにはいかないので、きついきつい。

そして到着。
これが涸沢から拝む穂高の山の景色です。
この涸沢ヒュッテ(標高2309メートル)から、正面の北穂高岳の山頂(3106メートル)までは、約3時間ほどなのだそうです。ここから先は、アルピニストの世界ですね。

午後2時過ぎ…

涸沢ヒュッテで息子はラーメン、僕はおでんとビールで胃袋を満たし、今度は下山。
次なる目標は徳沢ロッジのお風呂です。さすがに下りはカメラをバックにしまい、黙々と歩き続けました。足の裏をジンジンさせながら、徳沢には5時ちょうどに到着。ここで足を靴から開放し、至福の入浴タイム。
腿とふくらはぎには、早くも筋肉痛の兆し。

そこから残り6キロを、再び歩き、何とか日没寸前にサイトに帰着。13時間に及ぶトレッキングはこれにて完結。レトルトカレーを食べ、缶ビール2本飲んだら爆睡となりました。

■8月13日(月)

再び朝5時に起床。
今度は11日に撮りそこなった大正池と梓川の写真を撮りに下流方面へ。

こちらは既に何枚も写真は持っているのですが、息子にその景色を見せたいと思い、ほとんど観光ガイドというか、写真撮影ポイントの再確認みたいな感じになりました。

大正池は既に日が昇って靄も少なく、まあ普通(笑)。

田代池は日が昇ると強い逆光になるのでパスしました。

梓川は、田代池から河童橋に向かって梓川コースの自然観察路に入り、しばらく歩くと川原に出られる、このポイントが一番絵になるところだと思います。

 
 

足を引きづりつつ、朝から6キロの散歩をこなし、9時過ぎにサイトを撤収。10時前に上高地を後にしました。

下山後は、平湯の森でゆっくりと温泉に浸かって骨休め。
足裏マッサージの心地よかったこと!思わず2回もやってしまいました。

温泉から出て時間を見ると既に11時過ぎ…
この時間から大阪に帰ると、まともに渋滞に捕まりそうなので、もう1泊この涼しい奥飛騨で過ごすことに。

かって知ったるAコープで、肉と魚を仕入れ、目指すは新穂高にある、お気に入りのP泊スポットです。

 

ガラガラの駐車場の奥で、結露したテントとシュラフにたっぷり日光を浴びさせ、クルマから山に持ち込んだキャンピングギアを再び元の場所に戻して、ようやく一服。

息子はくたびれてオートフリートップの2Fでお昼寝モード… 
僕は静岡から来られた隣のおじさんと一杯やりつつ、車中泊の話で大盛り上がり。

夜は天の川がクッキリと見える圧巻の星空と、次々に流れる流星群に感動。フィルムカメラを置いてきたことを後悔しました。

 
■8月14日(火)

夜明けとともに新穂高を出発。朝の9時過ぎに無事帰宅となりました。

この経験を生かし、足腰を鍛え、荷物の軽量化を図って、次回は横尾のテン場をベースに頑張りたいと思います。横尾には槍ヶ岳へのルートもあり、槍沢の景観もぜひいつかモノにしたいと思っています。

 
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