災害時にも有効。乗用車を簡単に「寝心地の良い」車中泊カーにする方法

DIY

この話は、2019年3月に日産自動車が開催した車中泊イベントの中でも話しているのだが、実は「車中泊」には2つのタイプが存在する。

稲垣朝則

ひとつは筆者と同じく、「趣味やレジャー」のために自ら進んでやろうとする「積極的な車中泊」。そしてもうひとつは、「災害時の避難」のように、できることならやりたくない「消極的な車中泊」だ。

このサイトには、きっと両者が訪ねて来られると思うのだが、いずれにしても乗用車で「快適な寝心地」を確保するには、専用品の手を借りなければ難しい。

クルマのシートの、乗り心地と寝心地は反比例する。

自動車メーカーは、乗用車に「快適な乗り心地」を追求しており、シートにはホールド性を高めるために凹凸が施される。だが車中泊には、凸凹のないフラットなシートが理想的だ。

この相反するニーズが、乗用車での車中泊を難しくしているというのが今の実情で、それがなかなか車中泊向きの乗用車がこの世に登場してこない理由であり、セルフ改造が簡単にはいかない理由でもある。

それを踏まえた上で、話を先に進めていこう。

<目次>

週末や一時的な避難など、短期の車中泊に有効な方法

ミニバン・ワンボックスカーでの、ロングバケーションに適した方法

シートを外すセルフ改造の難点

フィールドドアの車中泊マット

週末や一時的な避難など、短期の車中泊に有効な方法

現在はシートの凸凹を軽減できる、分厚くて収納性の良い車中泊専用のインフレータブルマットが発売されている。

筆者はこれを「車中泊の三種の神器」のひとつに数えているのだが、実際にこれを使えば、大半のクルマはそこそこ寝られる状態になる

ただし、商品の選び方と使い方には留意点がある。

車中泊マット

まず、サイズは幅60センチのS(シングル)を選ぼう。

理由は幾つかあるが、一番は収納性だろう。写真がそのSの実物だが、特に荷室が狭いコンパクトカーにこれを2つ積むなら、場所を別々にできるほうが車内を有効活用できると思う。

また車内の狭さと荷物の保管から、現実にはひとりが寝るのが精一杯となった場合、どちらかはテントか避難所で寝なければならなくなる。そういう事態を想定すると、マットは個別にしておくほうが汎用性も高い。

加えて5ナンバー社の車幅は、カタログ上では1200センチ以上あるのだが、実際は様々な出っ張りがあって、一番狭い場所では1000センチを切る車種が多い。そうなると一部を重ねる必要性が生まれてくる。

インフレータブルマット

もうひとつは厚みだ。

薄ければシートとの間にかなりの詰め物をしないと、寝ているうちに体重でマットがへこみ、凸凹が背中から伝わってくる。そうなると目が覚めて熟睡できないし、なによりもまた荷物が増える要因になる。ゆえにこのシリーズでは、一番分厚い10センチがお勧めだ。

なお、逆にエアマットのように厚すぎると、今度はヘッドクリアランスがなくなり、クルマによってはドアから中に乗り込むことさえ困難になる(笑)。

車中泊 スノコ

また、ラゲージスペースがこのように深くなっている車種は、そこに小物を収納できるバスケットやコンテナを置いて、うえに簀の子を乗せると、ベッドスペースが拡張できる。これは収納性と寝心地を両立できる妙案だ。

車中泊コンパクトカー

またこのようにシートが傾斜していたり、座席間に空間があるような場合も、下にタオルやボックスを噛まして簀の子を渡せば、比較的容易にフラットなスペースを確保できる。そのうえに先ほどの車中泊マットを乗せれば完璧だ。ちなみに、簀の子は体重が拡散するため、立たない限りは、上に寝ても簡単に折れることはない。

ハイエースベッド

バンやミニバンでの、ロングバケーションに適した方法

たとえ「車中泊仕様」に作られていなくても、先ほどと同様に専用品を使えば、今は比較的容易に快適なベッド空間をマイカーの中に展開できる。

この方法がお勧めなのは、乗用車のシートを残してベッドが作れること。作業が簡単なだけでなく、法律の面でも改造には当たらず、車検もそのまま通せる。

ただし、車種ごとにスペックと構造が異なるため、メーカーは個別対応でキットの制作をしなければならない。そのため市販されているのは、ヴォクシーやセレナ、ステップワゴンなどの人気ミニバン車種と、軽自動車ではエブリィバン、ハイエース、NNV350(日産キャラバン)などのワンボックスカーに限定されている。

ちなみに値段が高いと感じるかもしれないが、DIYする際の材料代・工具代、そして自らの人件費を考えると、おそらく大差は出ない。しかも市販品は安全性を担保しており、車検対応も講じられている。

問題は、今の愛車にマッチする市販品がない場合だ。

DIYで車中泊用のベッドを作る。

ラウンジマール

そうなるとDIYで対応するしかない。

車中泊DIY

一番安上がりで、簡単なうえに効果が高い方法は、シートの前後・左右を正確に測り、ホームセンターで「コンパネ」を買って、機械で裁断してもらうことだ。

大事なのはコンパネの正確な大きさで、クルマのカタログで安易に車幅を調べて裁断すると、帰宅後、それが車内に収まらない場合がある。シートなどに突起物等がないかを実際に目で確かめ、シートをメジャーで必ず実寸しよう。

ボンゴフレンディー

なおコンパネは、持ち運びと保管がしやすいよう数枚に分割するほうがいい。筆者はコンパネに銀マットを貼ってクッション性を付加し、その上にすべり止めを貼りつけていた。またパネルが左右にずれないよう、スリットを入れて固定できるようにもしている。

コンパネの下には、シートの凸凹をある程度埋める「詰め物」が必要だが、これならすぐに座席に戻せ、必要なパーツも車内に積んで移動ができる。しかもキャンピングカー並みの寝心地を確保できるのだから素晴らしい。

ミニバン車中泊

シートを外すセルフ改造の難点

筆者は、ボンゴフレンディーを「車中泊カー」として使うため、購入前にわざわざ3列目のシートを外し、「5人乗り」として登録した。

バックドアキッチン

そうしておけば、3列目のシートスペースに、車内側が「カウンターテーブル」、リアゲートには写真のようなキッチン機能をもつ「家具」を搭載することができるからだ。

「家具」として降せるようにしておけば、法律上の問題はなく改造にもあたらない。そのおかげで雨や寒い日でも、車内でゆっくり温かい食事を食べることができ、2代にわたって30万キロという、途方もない車中泊の旅が実現した。

日本では、一度8(7)人乗りで登録した車両からシートを外すには、「乗車定員変更」の手続きが必要となる。その手続きをしなければ次の車検に通らないのだが、整備業者に申請代行を依頼しても、今はどこも陸運局から簡単に許可が降りないのが現状だ。5および3ナンバー車の「改造」が、実質的に不可能と云われる理由はそこにある。

ただ、ここへ来て風向きが少し変わってきた。

3列目ない2列シートミニバンなぜ増加?
トヨタやホンダも次々導入する理由とは

これは、筆者のように自分のニーズに合った車中泊カーを希望する人にとっては、フォローの風といえそうだ。

ハイエース キャンピング・カー

とはいえ、ギャレーやサブバッテリーシステムの搭載といった、「キャンピングカー化」を目指すことは勧めない。

最大の理由は「8ナンバー登録」できる改造基準の高さにあるのだが、仮に見た目は同じようでも、そこまでやるには安全性やクオリティーの面で、まず素人ができる範疇を超える。

サブバッテリーシステム

雜誌に登場するのは、プロのキャンピングカービルダーになれるほどの知識と工具を有する人たちであり、凡人ではということだ(笑)。

これは経験談だが、そこまで車中泊にハマれば、もうキャンピングカーを買うことを考えたほうがいい。キャンピングカーには、年式は古くても走行距離の少ないユーズドカーも多い。

楽天市場のユーズド・キャンピングカー大特集! 

<目次>

週末や一時的な避難など、短期の車中泊に有効な方法

ミニバン・ワンボックスカーでの、ロングバケーションに適した方法

シートを外すセルフ改造の難点

 

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