「避難のための車中泊」の理想型

避難のための車中泊

それは「車中泊」プラス「リアル・オートキャンプ」の「オートパッカー」

まずは「避難のための車中泊」の理想型を導き出すために、避難者の立場から考えてみたい。

1.「避難のための車中泊」には2つの「原因」が考えられる。

1)台風・大雨・大雪など、予報等で予測できる災害

災害が起こる前に行動する、正しい意味での「避難(難を回避する)」
社会は正常に機能しており、直前に必要な食糧などの買物が可能

自主避難で避難先も選べる

2)地震・火災など、予測ができない災害

手元にあるモノを持ってすぐに逃避を開始。
意味合い的には、「避難」というより「被災後の逃避と保護」に近い
「避難勧告」「避難指示」が出れば避難場所は地域の「緊急指定避難場所」へ
ただし、市町村によってはクルマでの避難が禁止されている場合がある。
その場合は、車中泊が可能なところへの自主避難になる

2.「避難のための車中泊」には2つの「結果」が想定される。

1)数日で自宅に戻れる

自宅に損傷はなく、数日のうちにライフラインが復旧する

2)当面、自宅に戻れない

自宅が大きな損傷を受け、避難所に移動して生活支援を受ける

3.「避難のための車中泊」には2つの「グループ」が存在する。

1)疾患がある、ペット・要介護者・乳幼児同伴など、団体生活が困難な人

避難所が開設されても入所できない

2)上記以外の人で、団体生活に抵抗感がある人

避難所へ入所できない物理的な理由はないが、精神的な苦痛が怖い

 

画像出展:朝日新聞社

被災地では、これらが絡まりあって「避難の車中泊」が形成されている。

キーワードは「健全と安心」

そこでまずは「最大公約数的発想」で考えてみよう。

避難時の車中泊といえば「エコノミークラス症候群」を連想する人は多いと思うが、まずは疾病・体調不良、さらに睡眠不足、腰痛、そして精神的不安をどう回避するかが最優先になるはずだ。

1~3全てに共通する「避難の車中泊」に絶対不可欠なモノは

健全な車中泊をするための「寝具」と「目隠し」

具体的には以下のような製品が挙げられる。

加えて毛布やタオルケットがあればベストだが、地震や火災時には自宅から持ち出す余裕はないだろうし、かといって常時クルマに積んでおけるモノでもあるまい。

そこで「避難の車中泊」では、「遊びの車中泊では禁じ手」であるカーエアコンの活用を想定したい。まあ云われなくても、真夏や真冬は避難者が勝手に利用するに違いないのだが(笑)。

カーインバーター

次は「1-2)地震・火災など、予測ができない災害」において必要不可欠なモノ。

情報収集・連絡を継続するための「電源」

帰宅または支援物資・炊き出しがくるまでの「食事」

さて。ここで熟考すべきは「食事」だ。

湯煎

避難時に便利とされる、パンやおにぎりなどの「調理済み食品」は、そもそも「緊急避難」時に入手することは難しい。

そのため「避難の車中泊」中は、できるだけ簡単な調理で食事を作って命をつなぐ必要がある。

ということは、食糧のほかにコンロ・燃料・調理器具がなければならない。

リアル・オートキャンプ

それを加味すれば、理想の「避難のための車中泊」の実像はこんな感じになる。

それは、車内で寝て、車外で調理と食事ができるスタイル。つまり正確には「車中泊」ではなく「オートキャンプ」だ。

実は筆者は、昔からこのスタイルで日本中を旅してきた。そして現在はそれを「オートパッカー」という名前で定義づけている。

オートパッカーとは…

オートキャンプ

日本人が持っているオートキャンプのイメージは、写真のようにテントサイトにクルマを横付けするスタイルだが、「避難のための車中泊」では、基本的にテントは張らないので、ここまでの広いスペースを必要としない。

筆者はそのような「オートキャンプ」のスタイルを、「リアル・オートキャンプ」と呼び、その具体的なノウハウも公表している。

リアル・オートキャンプとは…

ただし、この「リアル・オートキャンプ」が即「避難のための車中泊」の理想型にはならない。なぜなら「リアル・オートキャンプ」は、遊びでそれを自ら進んでやってみようと思う人のためのノウハウであるからだ。

車中泊

しかし基本は同じなのだから、「リアル・オートキャンプ」のノウハウを、やむを得なく車中泊する人向けに再構築することは難しくない。

それを定義づけるとこのようになる。

1.期間設定

最長2泊3日

いくらクルマといっても、備蓄できる水と食糧はせいぜい3日分。また生鮮食品のない食生活を、それ以上続けることは好ましくない。いっぽうマットがあるといっても、寝返りも打てない状況では疲れがたまる。それを考えると2泊までが妥当だ。

というわけで、とりあえず「2泊3日」を凌ぐことを大前提とし、それ以上の期間になる場合は「追加の措置が必要」とすれば、必要なモノも絞られ、行動にも統制が効いてくる。

2.スタイル

就寝は車内、調理と食事は車外

3.必需品

1)必須アイテム

■車中泊用マット
■すべての窓を内張りできるサンシェード

2)推奨アイテム

■カーインバーター
■3日分の水と食糧
■調理用品

これが筆者の考える「避難の車中泊」の理想型で、必需品については個人が用意するのか、行政が支給するのかは状況に応じて変わるだろう。ただ現時点では「自前が当り前」ということになる。

また、これを実行するには「各市町村にできる環境」が必要だ。それは個人でできるはずはなく、100%行政または民間施設の役割といえる。

ただ、もしこれで関係者全員のコンセンサスがとれるなら、「避難の車中泊」の環境は急ピッチで改善されていくはずだ。

日本のどれだけの世帯にマイカーがあるかは知らないが、仮に熊本地震のデータ通りに、その40%が「避難のための車中泊」をしたとすれば、その数は少なくても一千万世帯に迫るのではあるまいか。

 

「避難のための車中泊」の理想型

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