「避難のための車中泊」を取り巻く現実

Q&A

都会では、「指定緊急避難場所」で車中泊はできない。

災害時の市町村からの呼びかけには、「避難準備」・「避難勧告」・「避難指示」の3種類があり、「避難指示」が発令されたら、住民は市町村の防災ガイドに記された「指定緊急避難場所」に向かい、そこでまず安否の確認を済ませ、避難解除が発令されるまで待機しなければならない。

場合によってはそれが1日で済まず、災害によるインフラやライフラインの被害が発生すれば、待機は2日、3日となる可能性がある。しかもその場合、3日間は支援物資が届かないことを想定し、自分で調達したもので凌がなければならなくなる。

それを前提にした防災セットがこういう内容で、「避難の車中泊」の理想型で示した筆者の必需品とは、かなり異なる(笑)。

道の駅

とはいえ、クルマを所有していれば、ハンドキャリーとは比較にならない量の防災用品や食料を「指定緊急避難場所」に持ち込めるうえに、車中泊もできてプライバシーも保つことができる。ゆえに、まずクルマでの避難を考えるのは当然だろう。

しかし、都市部にある市町村の地域防災計画では、津波に限らず、地震、火災など の避難においても、避難の円滑な実施を考慮し、自動車による避難は原則 として禁止されている。

ということは「避難のための車中泊」を目指すなら、少なくとも「避難勧告」が出される前に、「指定緊急避難場所」ではないところに「自主避難」するしかない。もちろん「自主避難」である以上、制約を受けないかわりに、その間にかかる食料や生活費が自己負担になる。

またいくら「避難」とはいえ、通勤や通学に都合の良い場所で、長期の「車上生活」が認められるような場所は皆無に等しい。

それが現在の「避難のための車中泊」の実情で、今でも「想定外のまま」という位置づけであることは否めない。

車中泊

さて。ここで「避難のための車中泊」における理想の避難場所を考えてみたい。

広くてフラットな駐車場・自動販売機・24時間営業のコンビニ・分別ゴミ箱・フードコート・ウォシュレット付きの水洗トイレ・日帰り温泉・道路情報が見られる休憩室…

日本に、そんなところが実在するのか? 

答えはYesだ。

道の駅針TRS

例えば、奈良県にある「道の駅針T・R・S」には、今書いたすべての設備が揃っている。

刈谷ハイウェイオアシス

伊勢湾岸道にある刈谷ハイウェイオアシスにも、同様に先ほど書いたすべての設備があり、観覧車まで揃っている(笑)。

筆者はこういう施設を利用しながら、日本中を車中泊のクルマ旅で周遊しており、この2つのように「フルマーク」とまではいかなくても、理想に近い施設をリストアップする気になれば、全国から10件20件は出せると思う。

ただし、そこで許されるのは「車中泊」までであって、「オートキャンプ」はできない。ゆえに筆者は「キャンピングカー」に乗り換えているわけだ。

ただ「広域避難所」として指定された場合は、期間中の特別措置として認められる可能性はあるだろう。

熊本地震 道の駅

事実、熊本地震では道の駅をキャンプ場として活用していた例もある。

実は都会よりも地方の方が、避難所に使えそうな施設は多い。これまで非難の的にされてきた「箱物行政」が、思わぬところで役立つというわけだ(笑)。

しかし人口密度が高く、広い駐車場のある施設が少ないうえに、ちょっとしたことで渋滞が生じやすい都市部では、マイカーによる避難はマイナス要因になるほうが高いと判断されている。これが一番の「壁」といっても過言ではあるまい。

ただそうであっても、「理想のカタチ」が共有されていることは大切だ。

煮炊きが必要だからと、既存のようなオートキャンプ場を作ったところで、「避難場所」として使うにはロスと不都合のほうが多い。

またRVパークやCarstayが目指している小規模な施設での避難を認めれば、管理が大変で行政にはさらなる負荷がかかるだろう。熊本地震で2200台のキャパを持つ産業展示場「グランメッセ熊本」が使用されたように、できるだけ1ヶ所に車中泊の避難者を集め、そこで健康状態や物資の有無を一元管理をするほうが、有事には適していると筆者は思う。

リーフのバッテリー

また調理についても、既に電気自動車のバッテリーを屋外で使用できる乗用車が開発されており、それを使えば炊飯器・電子レンジ・電気ポットはおろか、ドライヤーや電気毛布、セラミックヒーターにスポットクーラーまで使えるようになる。

もう10年もしないうちに、フィールドでもそういうシーンが普通に見られる時代が来るはずだ。

その結果、火災を引き起こすリスクが大幅に軽減されれば、市街地の大規模駐車場でも、リアル・オートキャンプを否定する理由はなくなる。

そう考えると、今もっとも欠けているのは「避難のための車中泊」が被災時に有効であるという世論の形成だと思う。

いまや車中泊のイメージは地に落ちているだけに、よほどアタマを捻らなければ「逆転」は起きなさそうだが(笑)、「避難のための車中泊」が熊本地震時に40%もの避難者が支持した「簡単・安全・便利な避難方法」であることが認知されれば、「世論」は動くと確信する。

「避難のための車中泊」の理想型

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